2006 Fiscal Year Annual Research Report
インセンティブ機能を実現する分散ミドルウェアに関する研究
Project/Area Number |
17700065
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田頭 茂明 広島大学, 大学院工学研究科, 助手 (70332806)
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Keywords | インセンティブ手法 / 分散システム / ミドルウェア / P2P / アクセス制御 |
Research Abstract |
Peer to Peer(P2P)システムが、次世代のコンテンツ配信プラットフォームの中核をなす技術として注目を集めている。P2Pシステムでは、より多くのユーザが参加することにより、性能の飛躍的な向上が期待できる。しかし、資源を提供せずに利用するだけのユーザ(フリーライダー)の増加が原因で、P2Pシステムが持つ潜在的な性能を十分に発揮できていないのが現状である。このためユーザに資源提供を促す基盤技術の確立は、分野全体の進展および更なる実用化のための重要なステップとして位置付けることができる。本研究の目的は、P2Pネットワークにおいてユーザの計算機資源の提供を促すインセンティブ手法を確立することである。 本研究課題では現在までに次の成果を得ることができた。資源を提供しないユーザに対して、分散システム上のキャッシュや、ルーティング情報や資源の配置情報などのシステム情報の利用制限が、非常に大きなペナルティになることを明らかにした。具体的には、分散環境において、キャッシュやシステム情報を、利用できる場合とできない場合とではシステムの性能差は顕著であり、これらの資源を利用できないユーザに対して、システム利用時におけるレスポンスタイムの増加やスループットの減少といった大きなペナルティとして利用できることが期待できる。このように、共有資源の取得そのものにペナルティを課すのではなく、共有資源を効率的に利用するための周辺技術に着目し、それら技術に関してペナルティを課すことで、効果的なインセンティブ手法の確立を考察した。しかし、インセンティブメカニズムがとるアプローチは、本来ならば利用できる資源の犠牲の上に成り立つことから、システムが潜在的に持つ性能を効果的に引き出す点に関して本質的に解決できないこともわかった。
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