2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大森 洋一 九州大学, 大学院システム情報科学研究院, 助手 (20309727)
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Keywords | 形式的仕様 / 仕様獲得 / ドメインモデリング / ソフトウェア工学 / 要求工学 |
Research Abstract |
本研究は,特にネットワークやハードウェア制御といった複雑なソフトウェア作成において,対象分野の専門家が用いる自然言語を中心とする非形式的な問題記述から,計算機システムを利用した制御について形式化されたモデルに関する仕様を抽出する手法の提案及びツールによる実証を目的としている. 今年度の成果は,主に大学附属図書館における業務に関する事例研究による仕様記述プロセスの確立であった. 8月にGUIを利用した図書検索プログラムにおける仕様記述とそれに基づく試作を行ない,図書館職員というドメインの専門家からの仕様獲得に形式仕様記述が有効であることを確認した. 11月にICカードを使った図書館の入退館システムというドメインに関して,UMLによる準形式仕様及びVDMによる形式仕様モデリングを行なった事例研究を発表し,設計者と利用者の相互理解において,形式的な記述と非形式的な記述の組み合わせについて有用性を議論した. 12月に階層的なドメインモデリング記述に関する研究発表を行ない,ICカードを使ったシステムを例に仕様の有効期間によって記述を階層化するという提案を行ない,階層化基準について議論した. 3月にWWWを利用した検索プログラムの機能追加に関する研究発表を行ない,使い勝手の向上を図るとともに,仕様変更に対して変更箇所を特定しやすいという柔軟性を確認した. これらの検討を踏まえ,ツールプロトタイプを作成した. プロトタイプはEclipseのplug-inとして作成し,自然言語で記述された仕様書の単語をマークすると,その単語は全てマークする機能を実現した. 来年度以降は,このプロトタイプを階層的かつ非形式仕様からプログラムまでの追跡可能性をもつ形式仕様獲得手段をサポートするように拡張する.
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