Research Abstract |
本年度は,時系列ボリュームの解析・可視化・設計の3つの処理のうち,解析に重点をおいて定式化を進めていく計画を立てていた.しかしながら近年の可視化研究の時代的な要請もあり,解析・可視化の両方に関して研究を進めることができ,結果として以下に述べるような進展が得られた. 解析に関しては,各時間ステップにおいて,ボリュームデータの特異点の配置から導き出される位相骨格構造を抽出し,その時間軸方向への遷移を追跡することで,空間的かつ時間的に特徴的な部位を導き出すことに成功した.これは,データのサイズが大規模になりがちな時系列ボリュームデータから,効率よく注視すべき局所部位を特定することができることを意味し,またその局所部位の時系列ボリューム全体における相対的な位置関係も把握することができる点で,特筆すべき結果である.また,局所部位ごとに特徴の位相的な変化パターンを分類し,その物理的・幾何学的な意味づけを行うための下地のデータ収集を行った. 可視化に関しては,各時間ステップにおいて,ボリュームデータをとらえるための視点位置評価関数を,心理物理学実験から得られた知見を元に定式化し,最適な視点位置を自動的に求めることに成功した.さらに,この計算結果を40人規模の被験者に対して提示し,そのフィードバックを解析することで有効性を確認することができた.さらに,時間ステップごとに得られる最適視点位置を,時間軸方向に滑らかに追跡することで,ボリュームデータをとらえるための視点パスを計算する基本的な枠組みに関しても実装を行い,現在評価を進めている.
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