Research Abstract |
本プロジェクトでは,システム開発初期のデザイン会議を対象ドメインとして,インタラクションシナリオの獲得と再利用に関する研究を実施する.デザイン会議では,ブレインストーミングなどの伝統的な手法がよく使われている.ここでは,多数の参加者が互いに議論しながら,テーマに関するアイデアを短時間でできるだけ多く生み出して記録するという作業を行う.ところが,「このくらいの大きさで,こういう風に使う」といった非言語的なジェスチャ表現を,会議中の思いついた時点ですぐに記録して,直後に議論の素材として使うことは実際には行われていない.ハンドヘルド型システムをデザインする場合には,「このくらいの大きさで,こういう風に使う」という状況を示す情報が重要であり,この情報が有効に活用しにくいという点は,デザインの初期段階における本質的な問題だと考えられる. そこで本研究では「デザイン会議におけるインタラクションシナリオの獲得と再利用」を支援するシステムの構築を目指す.デザイン会議において,システムの使い方をストーリとして生み出し,獲得し,再利用して,さらに新しいストーリを生み出すという繰り返しのプロセスを支援する. 初年度には,シナリオ生成と再利用のプロセスを明示化して議論するために,教室内での教授シナリオを例にとりシナリオの生成と実行,修正のプロセスをモデル化した.本モデルの教授活動における実現可能性を議論し,さらにそれを支援する作業環境の評価を行った. また,従来研究で検討してきたプロトタイピング支援システムを基礎として,インタラクションシナリオの獲得と再利用を支援するシステムの設計と構築を行った.特に後者を起訴としたシステムでは,手書きスケッチによるプロトタイプを作成して,それをデザイン議論の素材として使い,さらにこれを半自動的に電子化することで,短時間に総括的な評価を実施できるシステムを構築した.
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