2005 Fiscal Year Annual Research Report
エージェントベースシミュレーションによる理論とケーススタディの架け橋に関する研究
Project/Area Number |
17700139
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高玉 圭樹 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (20345367)
|
Keywords | 社会シミュレーション / エージェント / バーゲニングゲーム / 理論解析 / 被験者実験 / 感度分析 |
Research Abstract |
本研究では,社会科学における3つアプローチ(理論的アプローチ,ケーススタディ・アプローチ,社会シミュレーション)の利点と欠点を明らかにし,その関係から社会シミュレーションの可能性と役割の探求を目的とする.その目的遂行のため,本研究では同一例題の同一条件上で3つアプローチの結果を比較する.具体的には,本年度では社会的行為の1つである複数回交渉バーゲニングを例題とし,下記の課題に取り組んだ. (1)理論解析と被験者実験の結果収集 理論的アプローチとして複数回交渉バーゲニングにおける利得と交渉回数を計算し,ケーススタディアプローチとして被験者実験を行い,被験者による利得と交渉回数の結果を収集した.そして,両者を比較したところ,異なっていることが分かった(これらはIFSR'05において発表している). (2)シミュレーションモデルの構築 (1)で得られた異なる2つの結果を導出できる個別のシミュレーションモデルを強化学習の1つであるQ学習を用いて構築した.具体的には,理論的アプローチではQ学習にεグリーディに基づく行動選択方法を導入したモデル,ケーススタディアプローチではQ学習にボルツマン分布に基づく行動選択方法を導入したモデルによって,それぞれ異なる結果を導くことができた.これより,この2つのモデルの共通項はQ学習であることが分かった(これらはAESCS'05,ACESS'05において発表している).
|