Research Abstract |
本年度は,以下の3つの研究,(1)リフティングウェーブレットフィルタによる個人認証システムの開発,(2)類似Haarフィルタによる物体認識,(3)画像のレイヤー化とレイヤー木マッチングを用いたビデオシーンの検索,を遂行し,国内外の学会において発表を行った。研究(1)では,初期フィルタとしてダイアディックウェーブレットを採用し,入力画像の拡大縮小に頑健な学習理論を構築した。リフティングウェーブレットフィルタは,調整可能な自由パラメータをもつ。このことを利用して,訓練データの特徴を捉えるようにフィルタを学習させる。応用としては,顔画像による個人認証システムの開発を行った。本システムは,顔画像をネットワークカメラにより取得し,それを認証サーバーに送信することにより高速に個人を認証することができる。しかしながら画像のダイアディックウェーブレット変換のアルゴリズムはシフト不変という利点を持つものの,従来のウェーブレット変換と比較すると4倍の時間がかかる。そのため,小型ロボットなどに物体認識機能を組み込むためには,より計算量の少ない学習理論を実装する必要がある。そこで,研究(2)では,類似Haarフィルタを用いた物体の学習理論を構築し,その応用として顔画像認識システムを開発した。新たに提案する学習理論では,訓練顔画像の特徴ベクトル群の分散値が最大となるように類似Haarフィルタを設計する。このとき,学習における計算にはニュートン法を採用しているため,顔画像を認識する類似Haarフィルタを高速に設計することができる。研究(1)と(2)を通じて,リフティング類似Haarウェーブレット変換の学習理論を構築するために基盤を確立することができた。さらに,研究(3)において,画像を層状に分解する手法と,画像中の物体の上下関係の特徴を捉えたレイヤー木を提案し,ビデオシーンの検索システムを構築した。
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