2005 Fiscal Year Annual Research Report
軽量な文法解析に基づくフォーカス解釈の多元的言語情報の表示と融合に関する研究
Project/Area Number |
17700163
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
大谷 朗 大阪学院大学, 情報学部, 助教授 (50283817)
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Keywords | 言語情報 / 解析 / 主辞駆動句構造文法 / 結合範疇文法 / 情報構造 / フォーカス / コーパス / 茶器 |
Research Abstract |
制約に基づく文法を解析の基盤とする文処理では、統語のみならず意味や音韻に関する言語情報を解析に用いることが原理的には可能である。しかしながら、従来の研究では言語的制約の融合に関する言語学的分析およびその実装が十分に検討されておらず、特に統語以外の情報を言語的制約としていかに融合させるかという問題に関しては具体的提案はない。 そこでOhtani & Miyata論文では主辞駆動句構造文法(HPSG)に基づき、普遍的な情報表示としてInformation Structure(情報構造)を日本語文法の形式化の基盤として導入し、フォーカスといった談話情報上の区分が、そうした言語情報の表示と形態・音韻情報および統語情報の間の制約として記述されるべきものであることを論じた。 情報構造の導入に必要な言語学的考察の要点は、i)諸言語に普遍的な文脈情報表示、およびii)個別言語における具現制約である。Ohtani・Miyata論文では日本語主語解釈の考察を通じて、フォーカスの機能的実現における音韻的・統語的制約を考えた場合、これらの区分は相互に関連をもつ組織的な言語情報の構成部分として扱う方が制約の関連が記述しやすいことを示した。今後は解析の軽量化を目指し、結合範疇文法(CCG)に基づいた言語情報の形式化および解析をすすめる。 こうした文法自身が内包すべき制約情報の融合に関する考察と並行して、本研究では解析に必須のコーパスの構築にも共同研究として携わっている。コーパスツール「茶器(ChaKi)」(Matsumoto et.al論文,松本他論文)の研究における申請者の役割は言語分析の理論的裏付けであるが、こうした作業を通して、現状の文法制約では説明できない現象について着目し、Ohtani & Takashi論文で提案した考えがCCGという枠組みのもとでこうした現象をどう説明できるのかを考察している。
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Research Products
(3 results)