2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブレイン・マシーン・インターフェイスのための課題切り替え機構の解明
Project/Area Number |
17700167
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松本 有央 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 研究員 (00392663)
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Keywords | 主成分分析 / 前頭葉 / ニューロン集団 / 課題の切り替え |
Research Abstract |
本研究では認知機能に重要な役割を果たしている前頭葉の神経細胞の活動を定性的に説明する人工神経回路網を構成することを目的とする.特に課題を切り替えて行っているサルの前頭葉の神経細胞活動を説明する人工神経回路網を構成する.これは前頭葉を損傷している患者に対して,認知機能を回復するためのブレイン・マシーン・インターフェイスを構成するのに役に立つ.17年度はMatch課題とNonmatch課題を切り替えて行っているサルの前頭葉で記録された神経細胞活動を解析した.始めにスクリーンの中心に緑色か赤色の正方形が表示され,サルはこの正方形を注視することを求められる.それから正方形の周辺にある6つの位置のいずれかに刺激が表示される.次の期間では,表示されていた刺激が消え,緑色か赤色の正方形のみが表示される.最後に,中心の正方形が消え,以前に表示された刺激の位置とそれとは異なる位置の2カ所に刺激が表示される.サルはMatch課題かNonmatch課題かによって,眼球を異なる位置に動かすことを求められる.これらの課題を実行中に記録した323個の神経細胞の活動を集めたベクトルの時間変化を主成分分析により解析した.その結果,前頭葉の神経細胞集団は視覚刺激が提示された期間に視覚刺激の位置を最も強くコードし,視覚刺激が消えた期間においてもその位置をコードしていることを発見した.さらにこれらの神経細胞は課題に関する情報を遅延期間から徐々にコードしていくことを発見した.これは刺激が消えた期間においてMatch課題とNonmatch課題の切り替えが行われていることを示唆している.18年度以降は,この課題切り替えの機構を人工神経回路網を用いて明らかにしていく予定である.さらに新たな実験データを解析して,どのような人工神経回路網を用いればよいかを調べる予定である.
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