Research Abstract |
情報センシング技術の向上と計算機の情報処理能力の向上により,様々なデータ処理の可能性が広がる中,リモートセンシングデータ,マルチスペクトル画像,動画像,ボクセルデータなどのテンソルデータ処理への期待が高まっている.本研究では,テンソルデータ処理の基礎として,高次特異値分解に基づくテンソルデータの圧縮や検索の手法を開発することを目的として,平成17年度から平成19年度までの3年間にわたり,新手法の開発,検証等に取り組んでいる.以下に,本年度の研究実績の概要を述べる. 本年度は,テンソルデータの圧縮に関して,複数の研究者によって提案されている2階テンソルデータの同時低ランク近似の非反復アルゴリズムの等価性を示し,解の近似精度,計算効率などの検証を行った.そこでは,最近提案された2階テンソルデータの同時低ランク近似問題の解析的アルゴリズムでも,同問題の大域的最適解は得られないことを実験で示した.更に同問題を一般の高階テンソルデータの同時低ランク近似問題に拡張し,その局所的最適解を求めるための反復解法と,近似解を求めるための非反復解法を提案し,近似誤差の上限式を示した.実験では,ハイパースペクトル画像の圧縮に応用し,その有効性を実験的に確認した.また,テンソルデータの多変量解析手法の一つとして,2次元線形判別分析の非反復アルゴリズムを提案し,顔画像による個人識別に応用し,短い計算時間で高い識別率を達成できることを確認した.
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