Research Abstract |
(1)大規模環境における大域的自己位置推定のための逐次的RANSAC手法.ロボットの大域的自己位置推定問題に対する,一般的な解法は,ロボットの自己位置について複数の仮説を生成し,観測された各ランドマークの特徴をもとに各仮説を評価することで,最も確からしい自己位置を求めるというものである.MLやMCLに代表される従来手法は,特徴と仮説の全ての組合せ(ペア)を評価しようとするものであり,十分な計算資源の下では最適な方法といえる.しかし,一般に計算量は評価するペアの数に比例することから,多数のペアが存在する大規模な環境では,これらの手法は膨大な計算量がかかる.この問題を解決するため,本研究では,確からしい有望なペアを優先的に選出・評価することで,ロボットの観測当りの計算量を一定以下に抑えることができる,新しい推定手法を提案した.その基本となる手法として,RANSACアルゴリズム,および,RANSACアルゴリズムの効率化手法であるPreemptionスキームを利用した. (2)オクルージョンを相対位置情報として用いた確率的な複数歩行者追跡.単眼カメラによる歩行者追跡では,画像から移動物体を抽出し,その後,カメラ座標系と世界座標系の関係から,移動物体の3次元位置を推定する.ただし,単眼カメラでは原理的に3次元計測は不可能であることから,対象物の位置推定において,奥行き方向の誤差が大きく,また,オクルージョンの問題も生じる,従来,このオクルージョンは,複数の人間が交差する際の位置推定の誤差の原因の1つとされてきた.本研究では,オクルージョンの情報が,複数の歩行者間の相対的な位置関係の推定に有効であることを示し,その相対的な位置情報を歩行者追跡に利用する方法を提案した.そして,複数歩行者追跡の最も基本的な問題である2人の歩行者のすれ違い状況下での実験を行い,提案手法の有用性を確認した.
|