2006 Fiscal Year Annual Research Report
状態と出力に相互依存関係を有する確率モデルの構造最適化と頑健性強化に関する研究
Project/Area Number |
17700208
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小川 哲司 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (70386598)
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Keywords | パターン認識 / 音声情報処理 / 自然発話音声認識 / 音響モデル / モデル構造最適化 |
Research Abstract |
本年度は,以下の2点について検討を行った. (1)部分隠れマルコフモデル(PHMM)のモデル構造最適選択 PHMMのモデル構造を音韻毎に最適化する枠組みとして,昨年度は,評価基準として重み付き尤度比最大化基準を,最適化アルゴリズムとして遺伝的アルゴリズムを導入し,講演音声認識において従来法の誤りを削減した.本年度は,下記A)〜C)について詳細な検討を行った. A)評価関数:重み付き尤度比基準,最尤基準,ベイズ基準など複数の評価基準を導入し認識性能を評価したところ,識別的な基準である尤度比基準が最良の性能を与えることがわかった. B)最適化アルゴリズム:遺伝的アルゴリズムとタブサーチを用いたときの性能を評価したところ,タブサーチは局所解に陥りやすく,遺伝的アルゴリズムの方が高速に最適解に到達することがわかった. C)識別クラスの共有:探索の効率化のため音韻のクラスタリングを行ったが,最適化の段階でクラスを共有してしまうと,共有しない場合と同程度の性能を得られないことがわかった. (2)環境の変動に頑健な特徴量の検討 PHMMのように高精度な確率モデルは,HMMなどの単純なモデルと比較して発話者や環境の変動の影響を受け易い.したがって,音響特徴量から発話者の情報や環境の情報を取り除き,識別に必要な情報である音韻情報のみを抽出する手法(識別情報抽出)について検討を行った.識別情報抽出として,HLDAやそれを拡張したManifold HLDA(MHLDA)を提案し,単語音声認識により評価を行ったところ,HLDAとMHLDAにより抽出されたパラメータを統合することで,環境の変動に対して頑健な性能を与えることがわかった. この知見を発展させ,HLDAにブースティングを導入した確率モデルの統合手法についても検討を行い,最尤識別に比べ頑健性の高い認識が可能になるという予備的な知見も得た.
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Research Products
(4 results)