Research Abstract |
本研究では,人間とロボットの円滑なコミュニケーションの実現を目指し,記憶モデルと顔ロボットの開発を行ってきたが,ロボットが人間に与える心理的影響は,アンケートを用いて主観的にしか計測されてこなかった.そこで,本年度は,人間とロボットのインタラクションにおいて,人間がロボットからどのような心理的影響を受けるかを,人間の生理指標と体の動作より客観的に計測することが可能な人間計測システムWB-2(Waseda Bioinstrumentation system No.2)を開発した.WB-2は,生理指標として,被験者の動作が計測データに影響を及ぼしにくい心電・呼吸・発汗・脈波,体の動作として,上半身の動作を計測することができる. まず,生理指標においては,ほとんどの生理指標に影響を及ぼすと言われている呼吸と,不安・緊張・眠気などと関係があるとされる発汗の解析を試みた.呼吸からは呼気時間・吸気時間・ポーズ時間を算出し,ポーズ時間とストレスとの関連を調査したところ,ストレスが増加するとポーズ時間が減少することがわかり,呼吸の最大周波数と心電から算出されるRSAより,より正確なストレスを計測することができた.また,IIRフィルタを用いて発汗からSCLおよびSCRの算出を行った.これらの指標を求めることによって,人間がロボットの様々な行動からどのような影響を受けるのか明確になるものと思われる. さらに,上半身の動作計測においては,加速度センサ・地磁気センサ・レートジャイロからなる姿勢センサモジュールを製作し,これを上半身の各関節位置に配置することによって,拘束感がなく軽量なシステムの開発に成功した.また,新たな姿勢算出方法を考案することにより,Roll・Yaw角は±180[deg],Pitch角は±90[deg]測定可能となり,いかなる姿勢も計測することができるようになった.
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