2005 Fiscal Year Annual Research Report
デコヒーレンス効果を利用した脳模倣型量子計算アルゴリズムに関する研究
Project/Area Number |
17700224
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金城 光永 東北大学, 電気通信研究所, 非常勤研究員 (50396529)
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Keywords | 量子計算アルゴリズム / 断熱的量子計算 / ニューラルネットワーク / デコヒーレンス効果 / 組合せ最適化問題 / Nクイーン問題 |
Research Abstract |
当該研究では、量子計算アルゴリズムの中でも汎用性の高い脳模倣型量子計算アルゴリズムにおける、量子系のエネルギー縮退の存在による解発見確率低下を踏まえて、エネルギー散逸を積極的に取り入れた新しいアルゴリズムの開発およびそのハードウェア検証を目的とし、平成17年度科学研究費補助金交付期間内に計算機シミュレーションでの新しい脳模倣型量子計算アルゴリズム開発とその有効性の検証を行い、様々な量子計算機実現手法を想定してハードウェアに即したシュミレーションを行うことでその実用性の検証を行った。 まず、小規模仮想量子計算機を想定し、デコヒーレンスの効果のひとつであるエネルギー散逸を伴わない横緩和と称される効果を取り入れた新しい脳模倣型量子計算アルゴリズムの検証を汎用計算機による計算機シュミレーションを利用して行った。対象問題として組合せ最適化問題のひとつであるNクイーン問題(但しここでは小規模としてN=4、即ち16量子ビット)を選択し、計算機シュミレーションを通して横緩和効果の割合と解発見確率を評価した。その結果、適当な割合の横緩和効果により解発見確率が向上した。しかし計算終了状態エネルギーは対象問題に関する基底状態(最適解状態)エネルギーにより倍以上高く、横緩和効果のみでは最適解が得られないことが判明した。次にデコヒーレンスの効果のひとつであるエネルギー散逸を伴う縦緩和と称される効果を取り入れた量子計算アルゴリズムの検証を補助金で購入した汎用計算機による計算機シミュレーションを利用して行った。更に全体的なデコヒーレンス効果の割合と解の得られる確率の評価・検討を行った。その結果、エネルギー比にてわずか0.5%程度のデコヒーレンス効果により、計算終了状態エネルギーがエネルギーの縮退の有無に関わらず基底状態近辺に到達し、解発見確率が大幅に向上した。以上の結果を論文としてまとめて投稿し採択・掲載された。
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