2005 Fiscal Year Annual Research Report
衣生活における子どもの消費行動に関する感覚的特徴の解析
Project/Area Number |
17700225
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
佐々木 和也 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (60292570)
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Keywords | 感性教育 / 衣生活 / 視覚的触感 / 購買行動 / 子ども |
Research Abstract |
「感性」の育成を支援することができる教育教材を開発していく基礎資料を得ることを本研究の目的としている。まず,現代の子どもの消費行動を感性工学的な視点により分析していくために,子どもの消費行動を生活体験との関連をアンケートにより分析した。対象を高校生として,就学前・小学校時代・中学校時代の3段階での遊び経験とものづくり経験を抽出し,それと衣服選択の価値基準や選択行為の際の情報獲得などとの関係をみた。その結果,遊びについて因子分析およびクラスター分析により4グループ(「伝統的遊び型」「現代的遊び型」「オールマイティ型」「欠如型」)に分類でき,全体的に遊び経験が少なく,感覚的体験の豊富な伝統的遊び型は小学生時代でも25%にとどまった。そこで,就学前から中学校までの遊び体験を数量化し,遊び経験の違う「上位群」「中間群」「下位群」に区分し,衣服購入との関連をみた。購入時において,上位群は「品質表示などを見る」に有意差がみられたのに対し,下位群では「特になにもしない」に有意差が認められたほか,他者からの所属欲求についても「自分がよければよい」に有意差がみられた。このように,遊び経験が少ないことが,モノの消費の場面における情報行為が表面的で,総じて無関心の傾向が強くなることが明らかとなった。次に,繊維および布地に関する知識調査および判別試験を行い,視覚的触感に関する官能検査の被験者を体験的知識の差で3グループに分類した。官能検査では,綿・麻・絹の三大天然繊維を用い,直径の異なる円形試料を9種類用いた。画面のみの情報では触感判定は難しいが,実物では手触りに近い評価となった。また,絹のようにイメージが確立されており,ドレープ形状に特徴がある繊維については,画面のみでも十分特徴が捉えられる傾向がみられた。さらに,体験的知識が上位の群ほど,手触りと画面との評価が近くなる傾向も明らかになった。
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