2006 Fiscal Year Annual Research Report
"深い癒し"に重要な体感等に注目した「場」の実現に関する研究開発
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17700230
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 智治 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (90343186)
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Keywords | 深い癒し / 体感 / 身体・皮膚感覚 / 心理生理学 / 自律神経系活動 / 心理物理学 / γ特性・黒再現 / 「場」の実現 |
Research Abstract |
(I)「体感」に注目した心理生理学的分析からの主観・客観評価の基盤作りと、実際に取得した生理データに基づく分析からの客観評価指標の提案 これまでに、体感評価語の分析等に基づく主観的評価方法と、"緩い癒し"等の生理的反応モデルを与え、生理データによる客観的評価方法を提案した。その後、実際に健常者における生理データを取得し、特に、音楽刺激に対する自律神経系の活動に着目した実験・分析の結果、交感神経の亢進が主観的評価と相関があることがわかった。今後は、明らかにした事実を切り口として、多くの主観・客観的評価実験を繰り返し行い、客観的評価指標と方法の確立を目指したい。また、可能であれば高齢者等の生理データを取得・分析を行い、適応性の高い客観的評価へと発展させていきたい。 (II)視覚・聴覚の心理物理学的実験に基づく"深い癒し"の「場」の実現に関する必要条件の検討 視覚:人間の色知覚感度は高く、ディスプレイのγ補正精度はγ値で0.1精度:従来の一桁以上、黒再現は0.005cd/m^2程度:従来の1/100以下、階調性は12ビット(4096階調):従来(8ビット:256階調)の16倍の再現能力が必要である。また、2000本級のディスプレイのトランジェント部(ディテールコントラスト)の忠実再現では、1画素レベルの点でも輝き感の知覚に大きく影響する。 聴覚:ヘッドフォンによる再生は、心理物理学的に検討した結果、暗騒音や森の自然音等の再生、即ち、ある空間を意識でき得る方が良く、現行のノイズキャンセル等によるものは、かえって不安感や圧迫感などの悪影響を与える。 (III)深い癒しの「場」の実現システムの研究開発 人間の個々の身体的特徴に注目して空気を媒体とした共振を、腹部などに音提示時間より遅く提供することが比較的良い等がわかりつつある。今後は(I)における自律神経系指標の交感神経の亢進との関係を議論しつつ、心理物理・心理生理に基づくシステムの実現を目指す。
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