2005 Fiscal Year Annual Research Report
セルオートマトンを用いた完全可逆記述法によるディジタル音信号の非線形動力学特性
Project/Area Number |
17700231
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
黒岩 丈介 福井大学, 工学部, 助教授 (10282104)
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Keywords | 完全可逆圧縮記述 / セルオートマトン / 信号の符号化・復号化 / ルールダイナミックス / ルールの動的特性 |
Research Abstract |
我々はこれまでに,1次元2状態3近傍セルオートマトンのルール系列を用いて,ディジタル信号(発話データや音楽データ等)を完全可逆・圧縮記述できることを示した.本研究では,本手法で得られたルール系列が生み出すアトラクター構造の特徴を明らかにすることが,研究の目的である.特に本年度は,ルール系列とデータ特性との関係に注目し,より高圧縮記述を可能とするようなルールをデータ毎に明らかにすることを研究の目的として,研究を実施した.以下に,主な成果をあたえる. (1)1次元2状態3近傍セルオートマトンの256個のルールの可能な2つのルール対について,以(1)ビットパターン生成能力,(2)記述能力及び(3)圧縮率という,3種類の評価量から,セルオートマトンのルール系列によるデータ記述について研究した.これにより,16回のルール対の繰り返し適用で16ビット量子化データの可能な2^<16>個全ての状態を生成可能なルール対は4つあるが,必ずしも圧縮率が高くないこと,一方,(#90,#180)というルール対は生成能力はさほど高くないが記述能力が高く最も圧縮率が高いことが分かった. (1)時系列データの各区間データ間のハミング距離と,ルール対による記述を行った場合のルール系列長の関係について研究した.これにより,一般のルール対もハミング距離の近い区間では,ルール系列長は短い傾向にあるが,高圧縮可能なルール対(#90,#180)はハミング距離の遠い区間に対してでも短いルール系列長で記述可能なことが分かった.つまり,高圧縮を実現するためには,ハミング距離の遠い関係にあるパターンをいかに生成するかが重要となることが明らかとなった.
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Research Products
(3 results)