2005 Fiscal Year Annual Research Report
視覚伝達デザインにおける光源色の使用指針の作成に関する研究
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17700248
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
井上 征矢 筑波技術大学, 産業技術学部, 助手 (80389717)
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Keywords | サイン / 光源色 / 内照式サイン / 駅 / 聴覚障害 / 情報保障 / LED文字提示装置 |
Research Abstract |
当初はサインの視認性や可読性に関する実験から始める予定であったが、現状の問題を反映した刺激を用いた実験が効果的との判断から、本年度は交通施設における内照式サインや光源色サインの問題把握から始めた。調査内容は静的サインの場合は、配色、情報量、照明方法、設置位置、障害者への配慮等であり、動的サイン(電光文字提示装置)ではこれらに、同時提示文字数、スピード、一文の長さを加えた内容である。国内と海外5カ国で、空港、主要鉄道駅、地下鉄、バスターミナル、路上交通等のサインシステムを調査し、約1400枚の静止画と80本の簡易動画を撮影した。また近郊の鉄道会社2社のサインマニュアルに指定されたサイン使用色を測定し、更に聴覚障害者(本学学生)と駅の歩行調査を行い、障害者への問題の把握も行った。それらの調査の結果、内照式サインでは主に、盤面の光透過率のムラ、盤面への照度不足、白背景に暗い文字(暗い背景に明るい文字の方が読みやすい)、背景色が変わることで路線色等が異なる色に見える等、光源色サインでは主に、使用色過多による統一性のなさやまぶしさ、盤面と文字の輝度対比が強すぎる、赤い強調文字が黒背景では逆に見難い、文字を読める角度が狭い等、動的サインでは主に、配色が不自然、提示スピートが速すぎる(点滅させると更に読めない)、同時提示文字数が少ない等の問題で、サインの視認性や可読性が損なわれている例が多かった。また高彩度、高輝度色の広告や看板が、サインを阻害する例も多く、設置位置、色、形状等の統一的区別による棲み分けの必要性も感じられた。聴覚障害者に特化した問題としては、電車ドアが閉まるタイミングを示すサインが分からない、(満員電車で)現在位置を示すサインが見難く不安になる、文字の提示スピードが速すぎるものがある等があった。現在は上記結果を元に、文字解像度、配色、提示スピード、同時提示文字数、一文の長さ等を変数とした、主に聴覚障害者を対象とした情報伝達に関する実験刺激を作成している。当初は高色再現モニタを用いて刺激提示する予定であったが、現実に近い提示が良いとの判断から、国内の鉄道会社で採用されているLED文字提示装置を使用する交渉を進めている。
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