2005 Fiscal Year Annual Research Report
携帯電話利用によって創発される新しいプラクティスに関する実証的研究
Project/Area Number |
17700256
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡部 大介 慶應義塾大学, 大学院政策・メディア研究科, 講師 (40345468)
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Keywords | 携帯電話 / 携帯電話利用のプラクティス / ヴィジュアルコミュニケーション / undisciplined places / Ambient Co-presence |
Research Abstract |
今年度は、街中や店舗、駅などのいわば「undisciplined places」における携帯電話の日常的な利用実態調査に焦点を当てた。この調査のため、携帯電話、そして付加的に音楽プレーヤーなどの携帯情報端末利用時のデータを収集するためのプラットフォームを構築した。この調査ツールの特徴は、位置情報取得可能なカメラ付携帯電話を介して、調査協力者自身が写真とテキスト、位置情報データを提供できる点にある。データは、moblog上に反映され、どこで、どのように携帯情報端末を利用したかを把握することができる。あわせて、調査者が対象者に半日程度同行する「シャドウイング」の手法を用い、調査協力者の行動を記録した。このデータについては、現在調査を進めており、18年度も継続的に実施する。なお現時点で16組に調査を行っている。 また上記調査に先駆け、携帯電話利用に関して、別途調査を実施した。この調査では、調査対象者に携帯電話利用のログを2日間記録してもらう「Communication Diary」の手法を用い、携帯電話利用時の社会的コンテクストが分かるように、日時/相手/送受信の別/場所/...などの記録を求めた。その後、ログに基づき半構造化インタビューを行った。このデータから、今年度は特にカメラ付携帯電話の利用に関するプラクティスについて詳細に検討した。カメラ付携帯電話を介した写真の取得に関しては、特に自身の「ライフスライシング」、そして親しい友達どうしの会話のための「ネタ写真取得」というカメラ付ケータイ独特の社会的プラクティスが顕著にみられた。これに関連して、写真に対する価値付けも変容してきていることが、特に若者の間で認められた。また、写真の送受信については、対人関係を反映した社会的な行為であることが伺えた。同時に、恋人間などの緊密な関係においては、写真を介してお互いのステイタスを可視的にしあう、「Ambient Co-presence」とでも呼ぶべきプラクティスが創発しつつあることが見てとれた。
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Research Products
(2 results)