2005 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸音の遅延フィードバックが不随意的呼吸に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
17700267
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
高瀬 弘樹 東京電機大学, 21世紀COEプロジェクト推進室, 助手 (60345725)
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Keywords | 呼吸音 / 遅延フィードバック / 認知科学 |
Research Abstract |
本研究課題は,外的な聴覚情報を包含する呼吸の制御機構に関して明らかにすることである.これを調べる実験手法として,本研究では遅延聴覚フィードバック(delayed auditory feedback : DAF)の研究パラダイムを援用することとした.実験場面では,被験者に気づかれない程度に遅延させた呼吸音をヘッドフォンを通して呈示したときの呼吸パターンの変化を,遅延呼吸音との時間的な関連の観点から分析を行うことで,外的な聴覚情報が不随意的制御の呼吸に如何に作用し,両者が相互作用するか検討する.遅延時間に関しては,これまでのDAFに関する研究において,実行している運動の種類に関わらず遅延時間が200-msecのとき,その運動のエラーが最大となることが明らかにされていることから,本研究でも,遅延時間無しから200-msec前後までの遅延時間を段階的に操作することで,どの程度の遅延時間が被験者の呼吸に影響を及ぼし始めるか,どの程度の遅延時間が呼吸に最大の影響を及ぼすか検討することとした.これらの点に関して検証可能な実験システムの構築が,本研究課題の初年度である平成17年度の最重要課題であった. 50kHzという膨大な呼吸音データをリアルタイムで遅延操作するシステムとして,FPGAテクノロジがベースのCompact RIOシステム(NI社)を導入し,自作プログラムにより遅延時間0-sec(遅延無)から最大遅延時間が1-secまでの制御が可能なシステムの構築を実現した.さらに,呼吸音のデータを保存するシステムとしてPXIシステム(NI社)を導入し,自作プログラムにより膨大なデータ量を安定して保存可能なデータ収録システムを構築した.本研究課題の予算配分でも明らかなように,初年度である本年度は実験システムの構築が最重要課題であり,膨大な音声データ(50kHz)をリアルタイムで操作し,かつ保存可能なシステム構築の実現は本年度の大きな成果と言える.
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