2006 Fiscal Year Annual Research Report
二重課題の機序解明によるヒト脳内の情報制御システムの理解:脳機能イメージング研究
Project/Area Number |
17700269
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
望月 秀紀 国立精神・神経センター, モデル動物開発部, 研究員 (40392443)
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Keywords | 二重課題 / 情報制御システム / 脳機能イメージング |
Research Abstract |
本研究では、二重課題(2つの異なる課題を同時に行う)の脳内メカニズムを解明することにより、ヒト脳内の情報制御システムの神経科学的理解を目指す。二つの課題を同時に行っているときに脳内ではある一定の規則に基づいて情報処理が行われることがこれまでの心理学的な研究から示唆されている。例えば、ボトルネックモデルやキャパシティーシェアリングモデルなどがある。しかしながら、実際に脳内で起こる情報処理がどのようなメカニズムなのかはほとんどわかっていない。本研究では、脳内の生理活動を非侵襲的に計測することができる事象関連電位法(ERP)や磁気共鳴装置(MRI)、ポジトロン断層映像法(PET)など脳機能イメージング法を用いることによって、二重課題施行中に脳内で起こる情報処理制御のメカニズムを明らかにする。昨年度までに実験環境や実験課題、脳活動測定装置のセットアップをしたので、本年度は、実際に健常成人者を対象に二重課題施行中の脳活動を測定した。ERPを用いて脳活動の時系列変化を捉え、MRIを用いて脳の詳細な画像を撮影した。現在、得られた脳活動データを解析しており、新しい知見がいくつか得られている。例えば、これまで2つの課題を同時に行うときに、知覚レベルのような低次の処理では干渉をほとんど受けないという心理データが報告されているが、申請者の脳活動解析データは、知覚レベルで干渉の影響を受けていることを示唆した。来年度は、さらに解析を行い、また、実験を行うことによって、ヒト脳内の情報制御システムの神経メカニズムを解明する。
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