2005 Fiscal Year Annual Research Report
構造変化モデルに対する漸近理論の構築及びそのモデル選択への応用
Project/Area Number |
17700282
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二宮 嘉行 九州大学, 大学院数理学研究院, 助手 (50343330)
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Keywords | 変化点解析 / 漸近理論 / 情報量規準 / 自己回帰モデル / 多重検定 / 積分幾何 / 特異モデル |
Research Abstract |
今年度の主結果の二つは,一般の構造変化モデルに対する情報量規準を導出したことと,複数の正規変数の最大値の裾確率の上限を容易に与える評価式を導出したことである.以下で具体的に述べる. 1.構造変化モデルはその非正則性により,その漸近理論は通常のモデルのそれとは異なるものとなる.そして,変化点パラメータのAICにおける罰則も,通常のパラメータのそれとは異なるものとなる.本年度は,構造変化をもつ自己回帰系列や非正規系列に対し,ある近接条件のもとでAICの罰則を陽な形で与えた.特に平均がシフトするような構造変化モデルにおいては,変化点パラメータの罰則は通常のパラメータの罰則の三倍となることを示した。これにより,構造変化モデルの容易なモデル選択を可能にした. 2.バイオインフォマティクスなどの分野では,その膨大のデータゆえに,(多重検定を考えて)相関の高い多くの正規変数の最大値を検定統計量として用いることがしばしばある.本年度は,Efron(1997,Biometrika)の結果を拡張することにより,数値積分を使わずに複数の正規変数の最大値の裾確率の上限を評価する式を与えた.つまり,保守的な検定の容易な構成を可能にし,あるバイオインフォマティクスから生じる問題,あるいはある二次元の変化点問題に対して有用となることを示した.また,正規変数間の相関が1に近づくときの評価式の漸近的性質を導き,提案する評価式に対する妥当性を与えた.さらに,正規確率場の最大値の裾確率を評価する積分幾何的手法(チューブ法)との関係を議論した。
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