2005 Fiscal Year Annual Research Report
アナロジーを用いた生物ネットワークの解析手法の提案
Project/Area Number |
17700292
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 泰博 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (50292983)
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Keywords | タンパク質相互作用 / 複雑ネットワーク / 進化計算 / bioinformatics / 糖鎖生物学 |
Research Abstract |
本年度は従来からの継続課題を完了させることと、その結果を踏まえて社会ネットワークの手法を検討し、社会ネットワーク的なアノテーションをつけるための方策の検討を行った。まず、継続課題"出芽酵母タンパク質相互作用ネットワークの数理的特徴とその生物学的特徴づけ"について、ネットワーク構造の比較よりショウジョウバエのタンパク質相互作用ネットワーク(以下ではPPI)の構造が多種(出芽酵母・線虫)と異なることを発見していたが、データを純化しより精度の高いデータを用いて再計算を行ったところ、やはりショウジョウバエのPPIの構造は他種と異なることを確認した。また、我々はPPIが階層構造を持ったネットワークとなっていることを確認しているが、その構成原理を解明するため進化計算(遺伝的アルゴリズム)を用いて、ab initioから遺伝子重複と欠損をベースにネットワークを進化的に構築させる計算機実験を行った。その結果、PPIの構成原理として平均最短経路長の最小化とクラスタリング係数の最大化の多目的最適化を行うことにより、PPIと類似したネットワークが得られることを確認した。 一方で、社会ネットワークにおけるコミュニティ分析の手法をPPIの解析に適用したところ、コミュニティのサイズに関する度数分布がSocial Network Service (mixi, http://mixi.jp日本最大のSNS)の構造に類似していることを確認した。この結果はPPIの階層構造が影響していると考えられる。また、社会ネットワークでは"相互作用の強弱"の視点が不可欠であるが、現状のPPIの分析では実験手法の問題から強弱を検討することが困難である。そのため糖鎖生物学の知見を援用することを着想し、共同研究を開始した。また、年度末にはsystems biology,複雑ネットワーク(金融物理),糖鎖生物学の研究者による研究集会を開催し、来年度以降は相互に研究協力を行うこととし、研究の方向について指針を検討した。
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Research Products
(2 results)