2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700295
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
合田 祥子 (日向寺 祥子) 東海大学, 総合情報センター, 講師 (70317824)
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Keywords | 分子軌道計算 / 糖鎖 / レクチン / 糖結合特異性 / 分子認識 / 大規模分子シミュレーション |
Research Abstract |
1.概要 特定の糖に対し結合特異性を有する分子について計算化学的手法を用いて詳細に解析し、その糖結合機構を電子レベルで明らかにすることを目的として、C型レクチンの1つであるマンノース結合タンパク質(mannose-binding protein : MBP)による6種類の糖の認識および結合様式に関する電子状態解析を、半経験的分子軌道法および非経験的分子軌道法を用いて行った。 2.計算手法 タンパク質(MBP)、糖の単体および結合体の構造最適化には、比較的計算コストの軽い半経験的分子軌道法を用いた。この計算により得られた構造を用いて、レクチン-糖間の結合性を精度の高い非経験的分子軌道法にて解析した。求めた分子特性は、結合エネルギー、静電ポテンシャル、形式電荷、単体の分子軌道および結合による軌道変化である。RHF(制限Hartree-Fock)法を用い、基底関数にはMIDI-4+分極関数を採用した。 3.計算結果 これまでの実験により報告されている糖結合性を再現する結合エネルギーが得られ、信頼性の高い計算が行えていることを示した。さらに、静電ポテンシャルの計算では、MBPと相補的なポテンシャルを持つ糖のみが結合性を示していることが明らかとなり、単体時の静電ポテンシャルがMBPによる糖選択性において支配的に働いていることを示した。最適化された構造と形式電荷の結果からは、糖とレクチン結合部位のアミノ酸間に4本の水素結合が存在し、それらはOH基を介してネットワークを構成して結合体を安定化させていることが分かった。また、結合前後の分子軌道を比較することにより、わずかではあるが、糖-MBP間に分子軌道相互作用が存在することも示された。
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Research Products
(2 results)