2006 Fiscal Year Annual Research Report
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17700295
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
合田 祥子 (日向寺 祥子) 東海大学, 総合情報センター, 講師 (70317824)
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Keywords | 分子軌道計算 / 糖鎖 / レクチン / 糖結合特異性 / 分子認識 / 大規模分子シミュレーション / フラグメント分子軌道法 |
Research Abstract |
1.概要 平成18年度は、前年度までに推測した糖分子認識のメカニズムをより確実にするための量子科学計算を行うとともに、大規模な生体分子のモデル化をせずに扱うことを可能とするフラグメント分子軌道法の計算環境構築を行った。 2.糖認識メカニズムの推測および新規糖結合分子の探索 これまでに行った分子軌道計算の結果から推測されるC型レクチン(カルシウム依存型糖結合タンパク質)の糖認識メカニズムの裏付けとして、対象としたレクチンにアミノ酸置換を施したモデル(ミュータント)によるマンノースおよびその他の糖への結合性を計算した。本計算では、生化学実験により得られた結合性の変化と同様の結合エネルギー変化が得られ、本研究で採用している結合アフィニティ解析の手法が妥当であることが示された。さらに、野生型レクチンとミュータントにおける結合部位のアミノ酸配列を比較し、マンノース結合に重要な役割を果たしているアミノ酸残基を推定するに到った。 3.フラグメント分子軌道計算の並列処理環境 これまでは、糖結合に強く関与する部位のみから成るクラスターモデルを用いた量子化学計算を行ってきたが、計算精度や多少遠距離に位置するアミノ酸の影響を考慮する上で、タンパク質全系を量子化学的に扱うことができるフラグメント分子軌道法の利用が強く望まれる。そこで、研究代表者が所属する東海大学総合情報センターが管理するコンピュータ室(合計コンピュータ数2000台以上)を利用して並列計算を行うための準備を行った。教育用に整えられたPC環境に配慮した上で、フラグメント分子軌道計算のプログラムABINIT-MPを実装した。平成18年度は少数PC上でのテスト的な実装であったが、平成19年度には長期休暇期間を利用して大規模計算を行う予定である。
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