2007 Fiscal Year Annual Research Report
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17700295
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
合田 祥子 (日向寺 祥子) Tokai University, 総合情報センター, 講師 (70317824)
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Keywords | 分子軌道計算 / 糖鎖 / 抗体 / 糖結合特異性 / 分子認識 / 大規模分子シミュレーション / フラグメント分子軌道法 |
Research Abstract |
平成19年度は、糖鎖結合性タンパク質のひとつとして、糖鎖構造特異的抗体の解析を行った。対象とした抗体は、マンノトリオース(マンノースが3つ結合した糖:M3)を認識するヒト型抗体であり、アミノ酸配列がすでに報告されている複数のクローンのうち、特に実験結果報告が多くなされているクローン5A3をとりあげた。なお、これら抗体の立体構造は得られていないため、糖の分子認識を解析するために、予測構造の構築が必要となった。 抗体の間には、高いアミノ酸配列保存性および構造類似性があることが知られているため、ホモロジーモデリングを用いてアミノ酸配列情報から立体構造予測を行った。構築したモデル構造と抗原(M3)との複合体構造予測には、抗体のループ構造の変化や、糖鎖の構造自由度を考慮できるInduced-fit Dockingを採用し、1000程度の予測構造を得ることができた。これらの構造は実験結果と照らし合わせて約20構造に絞り込み、ドッキングスコアの上位から順に量子化学計算による相互作用解析を行った。フラグメント分子軌道(FMO)法は生体分子間相互作用の量子化学的解析を目的としており、従来の手法では不可能であった巨大分子系の量子化学計算のコストを大幅に削減する手法である。 本研究では、FMO法を用いて5A3-M3複合体の解析を行い、各アミノ酸残基とM3との相互作用エネルギーを得た。その結果、複合体形成に寄与するアミノ酸残基の候補を挙げることができた。 FMO計算は並列化効率が高いため、PCクラスタ上では最大48CPUを用いて並列に実行し、計算時間の大幅な短縮に成功した。また、東海大学に設置された教室内の教育用PC16台(32CPU)を用いた実装テストも行い、有意な高速化を図ることができた。
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Research Products
(3 results)