2006 Fiscal Year Annual Research Report
異種生物間の代謝ネットワークの構造比較に関する研究
Project/Area Number |
17700297
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
遠里 由佳子 立命館大学, 情報理工学部, 講師 (80346171)
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Keywords | 代謝反応パスウェイ / アライメント / グラフ比較 / MACCS key / Tanimoto係数 / 分子系統樹最短経路間題 / 代謝ネットワーク |
Research Abstract |
本研究では,異種生物種間の代謝ネットワーク比較することで,生物種間で保存されている部位や,系統関係に関する新たな知見を目的としている.そして,本年度の研究実地計画として, 1.代謝経路の再構築プログラムの改良と評価 2.化合物の構造式の類似性に基づく代謝経路のアライメント手法の改良 3.反応パターンに基づく異種生物種間の代謝ネットワーク手法の開発 をあげた. 平成18年度の研究成果として以下にあげる論文は,この実地計画の中で主に課題(3)の内容に該当する.論文中では,代謝ネットワークのトポロジーに基づく系統比較の手法を提案した.具体的には,反応の有無により生物種ごとの代謝ネットワークを1と0の文字列で表現し,Tanimoto係数を用いることで2生物種間の距離を計算する.そして,すべての生物間の距離行列を求めることによりクラスタリングを行う.クラスタリング手法には最長距離法や最短距離法,ウォード法などさまざまな種類が存在するが,本研究では,他の先行研究と同様に最長距離法を用いてクラスタリングを用いた.そして,実際にMetaCycに存在する33生物種(古細菌6種,真正細菌26種,真核生物1種)の代謝ネットワークデータに提案手法を適用し,その妥当性を検討した.また,16SrRNAに基づく系統比較とくらべ,代謝ネットワークのトポロジーに基づいて系統比較を行った場合にどういう生物による違いが存在するかを確かめた.その結果,プロテオバクテリアの分類に,従来の解析手法では見られない特徴を見つけることができた.しかし,解析結果より代謝ネットワークデータが欠落している可能性がある生物種に対して,提案手法が間違ったクラスタリングを行う可能性が示された.この点に関しては手法の改良を試みる予定である. 課題(1)と(2)の内容に関しては,バイオ情報学研究会にて研究会発表済みであり,続けて論文投稿を行う予定である.
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Research Products
(1 results)