2005 Fiscal Year Annual Research Report
リボスイッチmRNAのモデル化による細胞性粘菌の形態形成に関する研究
Project/Area Number |
17700298
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石若 裕子 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特任助教授 (40280309)
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Keywords | 細胞性粘菌 / リボスイッチmRNA / 形態形成 / cAMPレセプター / 適応システム |
Research Abstract |
本研究の月的は,リボスイッチmRNAの働きの数理モデルを構築し,実際の細胞性粘菌の形態形成がいかに行われているのかをシミュレーションすることである.リボスイッチmRNAは,ターゲットを感知する受容体を持ち,遺伝子と遺伝子の間に存在しており,ターゲットを感知したときだけタンパク質を生成する.ここでは,ターゲットの化学物質を細胞性粘菌の形態形成に関与していると判明しているcAMPを採用した.リボスイッチmRNAの形状認識システムの自己組織化モデルの基礎研究として,RNA鎖を表現する配列から二次構造を一意に決定するために,RNAの2次構造形成に関する仕組みをルールとしたBoidを用いたモデルを提案した.RNA鎖を表す配列は,4種類のヌクレオチド,アデニン(A),グアシン(G),シトシン(C),ウラシル(U)を基本単位とする重複順列によって表現する. 提案モデルでは,ヌクレオチドの性質や各ヌクレオチドに作用する結合力をルールとして採用したBoidの手法を用いて,二次構造の決定を行う.以下に採用したルールを示す. 1.RNA鎖中の隣り合うヌクレオチドは一定の距離を保つ, 2.ヌクレオチドの結合の角度に対する制限, 3.ヌクレオチドの熱振動, 4.水素結合による相補的なヌクレオチドの結合, 5.疎水性による分子の凝集性. 上記提案モデルを用いてRNAヌクレオチド鎖をモデル化し,2次元における形態形成シミュレーションを行った.塩基配列は実物のRNA配列のうち,二次構造が判明している部分の塩基配列(20塩基)を用いた.結果として,リボスイッチmRNAの鍵穴に相当する形態形成が自己組織化された.今後の課題として,モデルの3次元化,発現性コントロールの数理モデルの構築があげられる.
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