2005 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経回路形成における神経活動の役割:レトロウイルスによるin-vivo解析
Project/Area Number |
17700305
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田端 俊英 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80303270)
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Keywords | シナプス可塑性 / 中枢神経系 / 発達 / 興奮性 / カリウム・チャネル |
Research Abstract |
遺伝子ブループリントに沿って構築された哺乳動物中枢神経回路は過剰なシナプスを含んでおり、発達後期の神経活動依存的なシナプス除去により精緻化されてはじめて成熟神経回路となる。従来の薬理学・遺伝子学的手法では細胞特異的な神経活動操作ができないため、個々のニューロンの神経活動が精緻化に与えるインパクトは不明であった。本研究は小脳をモデルとしてこの点の実証的解明を目指しており、本年度は遺伝子学的手法を用いてin vivoでごく少数のプルキンエ細胞の神経活動を任意の時期に操作する技術の開発に取り組んだ。以下の2つのストラテジーでプルキンエ細胞に内向き整流性K^+チャネルIRK1を強制発現させ、その興奮性を抑制することを狙った。IRK1を組み込んだレンチウイルス・ベクターをマウス小脳表面に投与することで投与後約1〜2週間で少数のプルキンエ細胞にIRK1を発現させることができた。一方、テトラサイクリン-tTA依存的プロモーター(tetOp)の制御下でIRK1とGFPをモザイク発現するトランスジェニック・マウスの開発も進めた。tetOp-IRK1-GFPトランスジーンを受精卵注入したマウスをNSE-tTAマウス(Sakaiら,2004)と交配し、NSE-tTA×tetOp-IRK1-GFPマウスを作出した。このマウスでは、少数のプルキンエ細胞でtTA因子が産生され、IRK1とGFPのモザイク発現が起こると期待される。また通常はテトラサイクリン類似物質を餌・水へ添加してIRK1・GFP発現を抑制しておき、添加を中止することで任意の時期にIRK1・GFP発現を促進することができると考えられる。作出したマウスのいくつかの系統で実際にGFP発現が観察された。また発現系において上記トランスジーンがテトラサイクリン類似物質依存的にIRKとGFPを発現させることが確認された。
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