2006 Fiscal Year Annual Research Report
軸索中枢末端の電位イメージングによるサイレントシナプスと可塑性の解析
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17700306
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
池田 弘 福井大学, 工学研究科, 講師 (80377473)
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Keywords | 脊髄後角 / 痛覚 / 光イメージング / 膜電位感受性色素 |
Research Abstract |
組織の損傷や、炎症時には、以前より激しい痛みを感じたり、触れただけでもそれを痛みとして感じるといった痛覚過敏と呼ばれる現象が生じる。このような変化には、痛覚信号の最初の中枢内の入力部位である脊髄後角で起きるシナプス可塑性が関与していると考えられているが、その詳細な細胞メカニズムは、明らかではない。私は、痛覚受容器の神経線維の中枢末端の中に、サイレントな中枢末端が存在し、そのサイレントな中枢末端が、一酸化窒素の働きによって賦活されることでシナプス可塑性が起きることを示唆する結果を得た。一方、末梢からの痛覚信号は、一次求心性線維を伝わって脊髄へと入力されるが、その信号の一部は線維の分岐点、あるいは中枢末端でその信号(活動電位)が抑止されているという報告がある。しかし、実際にサイレントな中枢末端がどのようなメカニズムで形成されているのかは、明らかではない。本研究では、膜電位感受性色素によって、一次求心性線維、及びその中枢末端のみを染色することにより神経興奮をイメージングし、抑制性伝達物質GABAによる中枢末端の活動電位の抑止が起きているかを調べた。実験の結果、GABA受容体の阻害薬であるpicrotoxinを投与することによって、神経線維の中枢末端の神経興奮の振幅が大きくなることがわかった。また、その変化には、脊髄後角内の二次ニューロンからのネガティブなフィードバック、及びグリア細胞からのGABAの放出が関与していることを示唆する結果が得られた。
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