2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウス行動テストバッテリーで得られたデータの大規模メタ分析
Project/Area Number |
17700307
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大貫 宏一郎 九州大学, ユーザーサイエンス機構, 学術研究員 (50378668)
|
Keywords | マウス / 行動解析 / 精神疾患 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、行動テストバッテリーを用いた多くの共同研究を実施しつつ、得られたデータを活用して基礎データの蓄積と解析を行い、行動テストバッテリーを改良し標準化することを主たる目的としている。本年度は、遺伝子改変マウスや脂肪酸組成の違う食餌を与えたマウス間での行動の違いなどについての共同実験を実施した。また、行動実験が実際の鬱症状や不安状態を反映しているかを検討するため、鬱を誘発するレセルピンや不安を誘発するジアゼパムの投与により、行動の変化を検討した。さらに、装置の改良として、明暗選択テストの不安行動をより顕著にすることを目的として、明箱の天井を取り除いたモデルを試用した。 遺伝子改変(トランスジェニック)マウスの一つの系統で顕著な鬱傾向の減少が見られた。ある遺伝子を過剰発現させたマウスであり、鬱の治療薬の新しいターゲットになると期待される。この結果は神経科学分野の国際論文に投稿する予定である。脂肪酸組成によってマウスの行動に若干の違いが見られた。この結果の再現性を確認し、食品分野の国内英語論文に投稿する予定である。また、食餌の組成も行動に影響するという知見が得られた。 レセルピンの投与により顕著な鬱症状が誘発されることを、テールサスペンションテスト、ポーソルト強制遊泳テストで検出することができた。ジアゼパムによる不安行動は高架十時迷路では見られたが、同じく不安を評価するとされている明暗選択試験では統計的な有意差が見られなかった。明箱の天井を取り除いたモデルでも行動の違いは見られなかった。薬理的な研究結果は公知のものと類似しており、論文投稿は予定していないが、実験を進める上での重要な基礎データを得ることができた。
|