2006 Fiscal Year Annual Research Report
Raclエフェクター分子の網羅的な機能抑制による神経細胞移動の分子機構の解明
Project/Area Number |
17700308
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川内 健史 京都大学, 医学研究科, 研究員(COE) (60397544)
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Keywords | 大脳皮質形成 / 神経細胞移動 / Cdk5 / p27 / 細胞周期 / アクチンフィラメント / Cofilin / 細胞形態変化 |
Research Abstract |
本研究では、大脳皮質形成における神経細胞移動を制御する分子経路を解明することにより、PH(periventricular heterotopia)病や滑脳症といった神経疾患の病態を分子レベルで理解することを目指している。神経細胞移動は1)脳室帯を出て多極性細胞になる段階、2)多極性細胞が一本の先導突起をもつ単極性(もしくは双極性)細胞へと移行し、極性をもって軟膜側へと移動する段階、の2段階に大別され、1)のステップはPH病と、2)のステップは滑脳症との関連が示唆されている。以前我々は、この神経細胞移動には低分子量G蛋白質Rac1が必須な役割を果たしていることを明らかにしていることから(EMBO J.,2003)、本研究では特にRac1の上流および下流の経路に着目して研究を進めており、昨年度はRac1の制御に関わる分子経路の一部を明らかにした(BBRC,2005;J.Neurosci,2005)。本年度の研究では、まずRac1と相互作用することが知られているCdk5が、神経細胞移動における上記1)、2)の両方のステップを制御していることを明らかにした(Nat.Cell Biol.2006)。また、Cdk5が、神経前駆細胞が細胞周期を終了するために必要なp27をリン酸化し、その結果としてp27のタンパク質量を増加させることも示し、さらにin vivo RNA干渉法により移動神経細胞におけるp27のタンパク質量を減少させると、神経細胞移動が阻害されることも見いだした。このp27のタンパク質量を減少させた移動神経細胞の形態などを調べることにより、p27は1)のステップのみに関与することも示唆された。さらに、Cdk5-p27経路は、その下流でアクチン結合タンパク質コフィリンの活性を上昇させること、コフィリン自身も神経細胞移動に関与することも明らかにした。
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Research Products
(1 results)