2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700309
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 健一郎 京都大学, 医学研究科, 科学技術振興助手 (20362535)
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Keywords | 脳 / 神経 / 視覚 / 運動視 / 視覚的注意 / 眼球運動 / 一次運動検出 / 二次運動検出 |
Research Abstract |
本研究は、視覚的注意が運動視の情報処理に影響を与える時のメカニズムについて視覚誘導性眼球運動を調べることで明らかにしようとするものである。脳が行う視覚刺激の動きの計算には刺激輝度の時空間スペクトラムから動きを計算する一次運動検出機構とそれでは計算できない動きを抽出する二次運動検出機構がある。これらの運動検出機構で検出される動視覚刺激を視標として用い、視標を動きに先行して呈示する時の先行時間を変えることで被験者の注意の状態を外因的な方法により変える実験課題を作成してヒトの追跡眼球運動を調べた。その結果、刺激タイプによらず、先行時間が長く注意を惹くことのできる条件程大きくなり、200ミリ秒から300ミリ秒までに最大になることが分かった。Neuro2006(7月、京都)でこの結果を報告した。また、サルの追跡眼球運動における視覚的注意の効果を調べる同様の実験課題を作成し眼球運動を調べた。作用の時間経過は上記の結果とよく似ていることが分かった。この結果はJ.Neuophysiolに掲載された。これらの結果は視覚的注意が動き検出から運動指令構築までの情報伝達効率を変化させるというモデルで説明できる。また、被験者の視覚的注意を惹き付けるための方法として、視標が動き出す前に視標がどこから動き始めるかを知らせる抽象的な手がかりを提示する方法を用いた実験課題を作成し、追跡眼球運動におけるトップダウン的注意の影響について調べた。その結果、抽象的な手がかりを提示する方法により注意を惹き付けた場合には、手がかり刺激提示後200ミリ秒より長い時間が必要であることを強く示唆する結果を得た。さらにボトムアップ的注意の効果についても調べ、数十ミリ秒で現れることを強く示唆する結果を得た。これらの結果は次年度9月に横浜で開催されるNeuro2007での報告を予定している。
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Research Products
(2 results)