2005 Fiscal Year Annual Research Report
菱脳運動神経細胞の発生におけるRho/Rho-Kinaseシグナル伝達系の役割
Project/Area Number |
17700313
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 憲太 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70315662)
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Keywords | 菱脳 / 運動神経細胞 / 発生 / 軸索パターニング / Rho / Rho-kinaseシグナル伝達系 / HGF |
Research Abstract |
菱脳運動神経細胞の発生におけるRho/Rho-kinaseシグナル伝達系の役割を解析するために、運動神経細胞特異的にRho/Rho-kinaseシグナル伝達系の活性を阻害したトランスジェニックマウスを作製した。このトランスジェニックマウスを用いて、菱脳運動神経細胞の発生を免疫組織学的に解析した結果、菱脳に存在する全ての種類の運動神経細胞(体性運動神経細胞、内蔵性運動神経細胞、鰓弓運動神経細胞)の数が、アポトーシスの誘導によって顕著に減少していることが分かった。次に、ホールマウントの免疫染色法を用いて脳神経系の軸索パターニングを検討したところ、体性運動神経に特異的に軸索パターニングの異常が観察された。さらに、菱脳組織片のin vitro培養法を導入して、体性運動神経の軸索パターニングに異常が生じる分子メカニズムを解析した。その結果、体性運動神経の異常な軸索パターニングは、肝細胞増殖因子(HGF)の制御下にあるRho/Rho-kinaseシグナル伝達系の活性阻害に起因することが分かった。以上の結果から、1)Rho/Rho-kinaseシグナル伝達系は、菱脳運動神経細胞の生存に必須であること、2)HGF/Rho/Rho-kinaseシグナル伝達系は、体性運動神経の正常な軸索パターニングを制御していること、が明らかになった。Rho/Rho-kinaseシグナル伝達系は細胞骨格を制御することから、現在、HGF/Rho/Rho-kinaseシグナル伝達系が、体性運動神経の成長円錐の骨格編成を調節しているか否かを検討中である。なお、以上の研究成果の投稿準備も進めているところである。
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