2005 Fiscal Year Annual Research Report
記憶とシナプス維持過程を制御するδ2グルタミン酸受容体-新しい活性化機構の解明
Project/Area Number |
17700316
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
掛川 渉 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70383718)
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Keywords | δ2グルタミン酸受容体 / 長期抑圧(LTD) / イオン透過性 / シナプス形成 / 小脳 / プルキンエ細胞 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
小脳平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおける長期抑圧現象(LTD)は、運動に関する学習・記憶の素過程と考えられ、その分子機構について精力的な解析がなされている。小脳LTD誘発の鍵を握る分子の1つとして、プルキンエ細胞に特異的に発現するδ2型グルタミン酸受容体(以下、δ2受容体と略す)があり、δ2受容体発現を欠く遺伝子欠損マウス(以下、δ2欠損マウスと略す)は、小脳失調や運動学習障害を示し、また小脳LTDを誘発させることができない。同時に、δ2欠損マウスにおける平行線維-プルキンエ細胞シナプスの数は、正常マウスに比べ、激減していることから、δ2受容体は、機能的なシナプス可塑性と形態的なシナプス形成・維持の2つの過程を制御するユニークな「記憶素子」として注目されている。しかしながら、δ2受容体の活性化機構についてはまったく明らかにされていない。そこで本研究では、δ2受容体の活性化機構を、トランスジェニックマウスと電気生理学・行動学的実験手法を有機的に組み合わせた新しいアプローチにより追究している。 現段階において、(1)δ2受容体アミノ酸配列に保存された推定上のリガンド結合領域を潰した変異体および、(2)δ2受容体を介したCa^<2+>流入を抑制するように施した変異体をそれぞれ、プルキンエ細胞特異的に発現させた"レスキューマウス"の作製および解析が終了した。これらのマウスは、δ2欠損マウスにみられる小脳失調、小脳LTD欠如およびシナプス機能異常など、すべての病的表現型を回復させた。従って、脳内で機能するδ2受容体は、リガンドとの結合を必要とせず、また、δ2受容体を介したCa^<2+>流入を必要としないことが示唆された。尚、リガンド結合に関する成果は、EMBO reportsにて報告済みであり、Ca^<2+>流入に関する成果は、現在投稿準備中である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Differential roles of glial and neuronal glutamate transporters in Purkinje cell synapses.2005
Author(s)
Takayasu, Y., Iino, M., Kakegawa, W., Maeno, H., Watase, K., Wada, K., Yanagihara, D., Miyazaki, T., Komine, O., Watanabe, M., Tanaka, K., Ozawa, S.
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Journal Title
The Journal of Neuroscience 25
Pages: 8788-8793
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[Journal Article] Rescue of abnormal phenotypes of the δ2 glutamate receptor-null mice by mutant δ2 transgenes.2005
Author(s)
Hirai, H., Miyazaki, T., Kakegawa, W., Matsuda, S., Mishina, M., Watanabe, M., Yuzaki, M.
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Journal Title
EMBO Reports 6
Pages: 90-95
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