2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳幹前庭神経核における長期運動学習記憶形成機構の解明
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17700320
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
首藤 文洋 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10326837)
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Keywords | 運動学習 / OKR / 視運動反応 / 小脳 / 内側前庭核 / 眼球運動 / 前庭動眼反射 / 長期記憶 |
Research Abstract |
HOKR(視機眼球反応)はスクリーンを振動させて中央に保定したマウスに視覚刺激を与え、刺激前後の眼球運動の変化を解析して運動学習を定量化する方法である。小脳片葉を薬物で電気的に遮断する実験で視覚刺激による利得の変化に1時間のトレーニングで形成される短期のものと4-5日間の繰り返しで形成される長期のものがあることが推察された。片葉を実験的に損傷させた実験では短期・長期共に利得が増加しないので片葉の活動が長期記憶の形成に必要と推察された。片葉での薬物投与や電極刺入を行った部位は組織に対するマーカーを使って確認し注入直後と3日後の分布状態の解析から注入後の薬物が他の脳部位に影響しない事を確認した。ここまでの結果を英文国際誌に発表した。5日間の長期トレーニングの開始日と3日目の動物の片葉に軸索輸送の阻害薬であるコルヒチンを局所投与したところ短期HOKRの利得増加は確認されたが長期の利得は殆ど変化しなかった。これは片葉からの軸索輸送が長期運動学習記憶の形成に必要である事を示すがコルヒチンの副作用によるマウスの活動状態低下が影響した懸念があり異なった方法による検討が必要である。蛋白質合成阻害剤であるアクチノマイシンDを片葉に局所投与すると4日間のトレーニングにる長期の利得に影響がないが5日目のトレーニングによる利得増加は確認されずその後利得の維持にも影響が見られたので長期運動学習記憶の形成・維持にタンパク質合成が関与することが推察された。アクチノマイシンDの慢性投与は活動性に大きな影響を与えたため投与方法を引き続き検討する。HOKRトレーニングの条件に合わせ3秒毎に反復刺激を45分間与えた電気刺激実験では刺激側と同側の内側前庭神経核において興奮性神経伝達に関与する物質の遺伝子発現に変動があり片葉からの出力の変化が内側前庭神経核細胞の興奮性に影響する現象を調べる糸口になるかも知れない。
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