2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウス眼優位可塑性に関与するOtx2蛋白質の作用機構の解析
Project/Area Number |
17700321
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
杉山 清佳 独立行政法人理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 研究員 (10360570)
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Keywords | 臨界期 / 視覚野 / GABA / Parvalbumin / Otx2 / homeoprotein |
Research Abstract |
これまでの研究により、視覚経験に依存してOtx2蛋白質が視覚野のParvalbumin(PV)陽性細胞に局在すること、またOtx2蛋白質を早期に視覚野へ導入すると、PV陽性細胞において機能分子の発現が促進し、臨界期が早期に誘導されることを明らかにしてきた。一方で、Otx2蛋白質が欠如した視覚野において臨界期が誘導されるか否かは不明であった。 そこで今年度は、Otx2変異マウス(Tian et al., 2002)と、CaMKIIプロモーター制御下でCreを発現するマウス(Minichiello et al., 1999)を掛け合わせ、Otx2コンディショナルノックアウトマウスを作成した。このマウスでは生後多くの脳細胞においてOtx2遺伝子が欠損するが、PV陽性細胞では正常なまま保たれる。すなわち、Ots2蛋白質が細胞外からPV陽性細胞に取り込まれるのであれば、このマウスにおいて視覚野のOtx2蛋白質は欠如することが期待される。予測どおり、コンディショナルマウスにおいてOtx2蛋白質はPV陽性細胞に検出されないことから、視覚経路上の組織に発現したOtx2蛋白質が視覚野のPV陽性細胞に取り込まれることが示唆された。さらに、臨界期に顕著に見られる眼優位可塑性の有無をin vivo単一細胞記録法を用いて解析した。その結果、Otx2蛋白質が視覚野のPV陽性細胞へ局在することが、臨界期の眼優位可塑性に必要であることが明らかになった。これらの結果は、Otx2に対する阻害抗体やsiRNAを視覚野に投与した後に解析した結果と一致する。一連の研究により、細胞非自律的なOtx2蛋白質が視覚野のPV陽性細胞の発達と眼優位可塑性の誘導に必要であることが明らかになった。
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