2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌に関わるタンパク質CAPS2の解析
Project/Area Number |
17700322
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
定方 哲史 独立行政法人理化学研究所, 分子神経形成研究チーム, 基礎科学特別研究員 (90391961)
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Keywords | CAPS2 / BDNF / autism / 自閉症 / exocytosis / 分泌 |
Research Abstract |
CAPS2(Calcium dependent Activator Protein for Secretion 2)遺伝子のノックアウトマウスの解析により以下のことが分かってきた。(1)小脳のVI葉とVII葉の間の溝の消失。(2)小脳VI・VII・IX葉の外顆粒層における顆粒細胞のアポトーシスの上昇。(3)小脳プルキンエ細胞の樹状突起の形成不全。(4)小脳の顆粒細胞の移動の遅れ。(5)小脳プルキンエ細胞の樹状突起におけるTrk受容体のリン酸化の低下。(6)小脳顆粒細胞の軸索終末部における小胞の数の減少。(7)小脳初代培養にいてプルキンエ細胞の生存率が低下。(8)小脳初代培養において、培養上清に分泌されるNT-3量が低下。(9)小脳プルキンエ細胞に取り込まれたBDNF,NT-3の免疫染色性が低下。(10)小脳の平行線維/プルキンエ細胞のシナプスにおいてpaired-pulse facilitationが低下。(11)視機性眼球反応の位相の遅れが生じ、その適応も低下。(12)小脳性協調運動能の低下。(12)社会性行動の低下。(13)Home cageにおける活動性の低下。(14)新奇環境における行動量の低下。(15)サーカディアンリズムの異常。(16)母性行動の異常。(17)海馬・大脳におけるParvalbumin陽性細胞の減少。(18)モリス水迷路における学習・記憶障害。(19)大脳初代培養において、培養上清に分泌されるBDNF量の低下。 また自閉症患者の血液由来のDNAを調べた結果、CAPS2遺伝子のsplicingに異常があることが分かってきた。splicing異常により産生される異常なCAPS2タンパク質は、神経細胞内の局在が野生型タンパク質と異なることが分かった。この結果、BDNF等のタンパク質が細胞内において、異所性に分泌されることが考えられる。
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Research Products
(4 results)