2006 Fiscal Year Annual Research Report
ターゲット特異的シナプス形成を制御する分子群の探索とカルシウム動態の可視化解析
Project/Area Number |
17700325
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
戸井 基道 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 研究員 (50344213)
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Keywords | シナプス / 神経回路 / 線虫 / イメージング |
Research Abstract |
中枢、末梢神経系における神経回路網が正常に形成されるためには、個々の神経細胞が適切なターゲット細胞を認識し、適切な位置および時期にシナプスを形成することが重要である。このターゲット特異的なシナプス形成によって、神経系は効率的な神経情報処理を担う回路として機能できると考えられる。本研究課題では、モデル生物線虫の神経系を用い、シナプス形成初期における標的細胞(ターゲット)認識を制御する分子群の同定を試み、その分子メカニズムを解明するとともに、カルシウムイメージングによりシナプス伝達効率の変化を同時に観察することを目指した。17年度までに、NaClに対する化学走性を制御する線虫の感覚神経ASEにシナプス小胞タンパク質VAMPとGFPとの融合タンパク質を発現させ、ASE神経軸索内におけるプレシナプス部位を可視化した形質転換体を作製した。このASE神経がシナプス接続する6種類のポストシナプス神経のうち、上述の化学走性に関わるAIY神経とのシナプス形成が特異的に阻害された突然変異体のスクリーニングを行った。約2000ゲノムのスクリーニングにより、AIYとのシナプス部位に相当するGFPの局在が特異的に消失した突然変異体を単離した。この突然変異体におけるシナプス形成異常が、ASE/AIY間のシナプス特異的であることを、他の複数の神経にGFP融合タンパク質を発現させて確認した。さらに、突然変異体の原因遺伝子のマッピングとクローニングを行い、候補因子を同定した。現在この遺伝子を用いて突然変異体の表現型回復実験、ならびに発現解析を行っており、その結果を基にシナプス形成における標識認識制御因子としたい。またこれらの突然変異体におけるシナプス形成異常が、形態のみでなく生理的にどのような変化をもたらしているのかを、カルシウム感受性蛍光タンパク質を用いた解析により明らかにしている。
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