2005 Fiscal Year Annual Research Report
RNA結合蛋白質Musashiが介する神経幹細胞における翻訳調節の分子機構解明
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17700354
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 貴雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10383712)
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Keywords | Musashi / 神経幹細胞 / 翻訳調節 / PABP / 翻訳開始因子 / eIF4G / RNA結合蛋白質 / 3'非翻訳領域 |
Research Abstract |
神経幹細胞に強く発現するRNA結合蛋白質Musashi1は、特異的結合するmRNAの翻訳を阻害すること、mRNAのpoly(A)鎖に結合するPABPに結合することを明らかにしてきた。PABPは翻訳開始因子の一つであるeIF4Gに結合して5'cap依存的な翻訳を促進する因子である。本年度は、Musashi1がPABPに結合することでPABP-eIF4G間の結合を競合的に阻害し、PABP-翻訳開始因子複合体によって促進される5'cap依存的な翻訳を低下させることを明らかにした。FLAG-tag pull-down Assayにより確認されるeIF4G, PABPの結合は、等物質量のMusashi1の添加によって約60%減となった。Musashi1-PABP間、eIF4G-PABP間、eIF4G(PABP結合領域)-PABP問の結合・解離速度をInitium社製"Affinix Q"を用いたQCM (Quartz crystal Microbalance:水晶発振子マイクロバランス)法によって定量的に測定したところ、結合・解離速度から算出された解離定数(K_d)はそれぞれ、48.8nM、125nM、83.7nM、となり、Musashi1はeIF4Gと同等以上のPABPへの親和性を有することを明らかにした。また、この翻訳阻害効果は「5'-Cap-Renilla Luciferase-HCV IRES-Firefly Luciferase-Musasahi1結合配列-poly(A)」のキメラRNAを翻訳活性のレポーターとした系において、Musashi1認識配列を有するRNAでのみ顕著に起こることを確かめた。これらの結果より、Musasahi1は特異的な下流標的遺伝子について、PABPとeIF4Gの結合を競合阻害することにより翻訳を抑制していることを示す知見が得られた。
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Research Products
(2 results)