2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナルコレプシー視床下部におけるオレキシン転写制御因子の研究
Project/Area Number |
17700362
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田中 進 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (30399472)
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Keywords | オレキシン / ナルコレプシー / 転写制御 / 自己免疫 / プロモーター |
Research Abstract |
成人視床下部より、何種類かのオレキシンプロモーターに作用を及ぼす可能性のあるクローンを同定した。これらは酵母における3次スクリーニングにおいても活性が見られた。何種類かの陽性クローンが持っていたKH-Iドメインに注目し、EMSAによる確認実験を展開中である。既にこのドメイン自体が神経発生に関わることが示されているため、このドメインを持つ同定されたクローン群は有望であると考えられる。それとは別にヒトのfetal brainからのオレキシンプロモーターへの結合因子を現在検索中であり、1次スクリーニングにおいて、現在までに報告されていないPAK1の選択的スプライシングバリアントを同定している。PAK1自体が細胞周期を止めるp21の活性に深く関与しており、このバリアントが神経前駆細胞の細胞周期を止め、ニューロンへの分化を促す、または逆にPAK1自体の動きを止めるのか、といった興味が持たれるクローンである。 最近になって、ナルコレプシー患者血清中にラットの膀胱筋に作用を及ぼす抗体分子が同定されている。これを受けわれわれは、ナルコレプシーの原因であり、自己抗体の可能性が示唆されている、オレキシンリガンド、及びその受容体2種についてそれらに対する自己抗体の有無をナルコレプシー患者血清中において検索した。ナルコレプシー患者血清中においてオレキシン、およびその受容体2種に対する自己抗体をRadioLigand Assayによって検索し、ナルコレプシー患者はほとんどそれらに対する自己抗体を有していないこと、また保持している患者および健常者においてもなんら睡眠との関連は見られなかった。以上の結果から、これらの自己抗体はかなりマイナーであり、かつ血清中に存在する限りはなんら病的因子になりえないことが示唆された。
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