2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700368
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久場 博司 京都大学, 医学研究科, 助手 (10362469)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 音源定位 / シナプス / 同時検出 / チャネル / 樹状突起 |
Research Abstract |
両耳に到達する音の時間差(ITD)は音源定位の1つの手がかりである.トリでは脳幹の層状核神経細胞(NL細胞)が両耳からのシナプス入力の同時検出器として働くことによりITDが検出される.NL細胞の同時検出器としての精度は非常に高く,この精度の実現には左右からのEPSPが速い時間経過をもつことが重要である.一方,NLでは細胞が特徴周波数(CF)毎に配列し(tonotopy),ITDはそれぞれのCF領域毎に検出される.さらに,ITDによる音源定位の精度は音の周波数に応じて異なり,一般に可聴周波数帯域の中間領域で高い.これらの事実から,音源定位の精度が周波数毎に異なることの背景には,NL細胞の細胞特性の違いが関わる可能性が示唆される.本年度の研究では,NL細胞の同時検出精度及び細胞特性をCF領域毎に調べた.NLの同時検出精度はmiddle-CF(約1-2kHz)領域で最も高く,high-CF(約3kHz)領域が次に続き,low-CF(約0.5kHz)領域で最も低かった.一方,低閾値活性型K電流の電流量,及びそのチャネル分子であるKv1.2の発現量もCF領域毎に異なり,ともにmiddle-CF領域で多く,low-CF領域で少なかった.Middle-CF領域ではKv1.2の発現量が高いことと一致して,EPSPは特に速い時間経過を示し,このことが高い精度の同時検出を可能にしていた.以上のことから,中間周波数帯域における高い音源定位能力は,このCF領域のNL細胞でKv1.2の発現量が高いことにより実現されていると考えられた.現在,さらに樹状突起におけるKv1.2の分布に関して,CF領域毎に解析を進めている.
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Research Products
(1 results)