2005 Fiscal Year Annual Research Report
感覚情報伝達におけるATP P2Y受容体の機能的役割
Project/Area Number |
17700370
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中塚 映政 佐賀大学, 医学部, 助教授 (30380752)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
成熟ラットから腰仙部脊髄を摘出し、マイクロスライサーを用いて厚さ600μmの脊髄横断スライス標本を作製した。脊髄膠様質ニューロンにブラインド・ホールセル・パッチクランプ法を適用することにより、P2Y受容体の活性化が膠様質ニューロンの保持膜電流、シナプス前終末からのグルタミン酸の放出によって引き起こされる自発性興奮性シナプス後電流(EPSC)および介在ニューロンを介したGABAやグリシン作動性の抑制性シナプス後電流(IPSC)に及ぼす作用について調べた。 P2Y_2ならびにP2Y_4受容体作動薬であるUTP(100μM)やP2Y_6受容体作動薬であるUDP(100μM)の潅流投与によって、膠様質ニューロンの保持膜電流、EPSCとIPSCは全く影響を受けなかった。一方、P2Y_1,P2Y_<12>ならびにP2Y_<13>受容体作動薬である2-Methylthio ADP(50μM)を潅流投与すると、記録した全ての膠様質ニューロンにおいて保持膜電流、EPSCは全く変化しなかったが、約20%の膠様質ニューロンにおいて自発性IPSCの発生頻度ならびに振幅は著明に増加した。さらに、P2Y_1受容体阻害薬であるMRS2179(30μM)の存在下では、2-Methylthio ADP(50μM)によって誘起された自発性IPSCの発生頻度ならびに振幅の増強作用は全く観察されなかった。 以上の結果より、P2Y_1受容体は主に脊髄後角における痛覚伝達に対して抑制的に作用することが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)