2005 Fiscal Year Annual Research Report
視覚経験依存的な神経回路の再構成における睡眠の働き
Project/Area Number |
17700374
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮本 浩行 独立行政法人理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 研究員 (90312280)
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Keywords | 睡眠・覚醒 / マウス視覚野 / 眼優位可塑性 / 抑制性ニューロン / マルチユニット記録 / テトロード / 知覚学習 / NMDA受容体 |
Research Abstract |
本研究課題は記憶・学習の素過程としての神経系の可塑性における睡眠の働きを回路網レベルで解析することを目的とする。このため睡眠と可塑性とが相互に影響を及ぼすことが知られている第一次視覚野(マウス)に注目し、マルチニューロン活動を慢性記録する実験系の構築を行った。 初年度は電極、手術法、記録法、神経活動の分離、解析に関して種々の条件を検討した結果、複数の可動式テトロード電極を装着した成熟マウスの皮質から無麻酔下あるいは麻酔下で安定したマルチユニット記録が可能になった。さらに現在、発達期に限られていた視覚野(眼優位)可塑性の時期を薬物的に制御できるようにしたミュータントマウス(GAD65)を利用し可塑性の有無と睡眠の様態との関連について調べている。ここでは覚醒・睡眠量、脳波周波数解析、ニューロン発火頻度、ニューロン間の相関発火を主たる解析の対象としている。視覚経験を操作し視覚ニューロンの応答特性が変化する過程をマルチニューロン活動記録で追跡する実験基盤が完成しつつあり、今後の神経回路網の変化時における睡眠の働きを知るための実験が現実的となった。 上記の眼優位可塑性に加え、成熟した野生型マウスの視覚運動における可塑性を行動的に測定する別の実験系も立ち上げた。同じ視覚経験操作によって引き起こされるこれらの可塑性は別個の機構により担われていることが明らかになり、かつこの可塑性に異常を有する変異マウスを見出した。ヒト知覚学習のモデルとなりうるこの種の可塑性についても睡眠がどのようにかかわっていくのかを見るため神経活動記録によるアプローチを適用する計画である。
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