2006 Fiscal Year Annual Research Report
視覚経験依存的な神経回路の再構成における睡眠の働き
Project/Area Number |
17700374
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮本 浩行 独立行政法人理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 研究員 (90312280)
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Keywords | 睡眠・覚醒 / マウス視覚野 / 眼優位可塑性 / 抑制性ニューロン / マルチユニット記録 / ディアゼパム / 無麻酔慢性記録 / テトロード |
Research Abstract |
本研究課題は記憶・学習の素過程としての神経系の可塑性における睡眠の働きを回路網レベルで解析することを目的としている。このため睡眠と可塑性とが相互に影響を及ぼすことが知られている第一次マウス視覚野に注目しマルチニューロン活動を慢性的に記録する実験系の構築を行った. 初年度は電極、手術法、記録法、神経活動の分離、解析に関して種々の条件を検討し、複数の可動式テトロード電極を装着した成熟マウスの皮質から自由行動下あるいは麻酔下動物から安定したマルチユニット記録が可能になった。さらに発達期に限られていた視覚野(眼優位)可塑性の時期を薬物的に制御できるミュータントマウス(GAD65)を利用し可塑性の有無と睡眠の様態との関連について調べた。睡眠量、睡眠脳波周波数、自発発火頻度、マルチニューロン間の相互相関、抑制性・興奮性細胞特性等の観点から、抑制系が減弱したGAD65マウスにおいても野生型同様の睡眠を示していると考えられた. 次年度では行動中マウスにおいて視覚刺激に対する皮質ニューロン応答を記録・定量し、その睡眠・覚醒状態依存性、神経活動間の結合特性を推定した.また行動マウス単眼を非侵害的に一時的に遮蔽することで覚醒動物(通常は麻酔下)の眼優位性を調べた.視覚経験を操作しさらに薬物(ディアゼパム)を投与することで視覚ニューロンの応答特性が変化する過程をマルチニューロン活動記録で数日に渡って追跡する実験を行つた.対照実験もすすめ神経回路網の変化時における睡眠の働きを知るための基盤が整った.また同じ記録システムを用いて麻酔下で多点電極(シリコンプローブ)により系統的かつ詳細に回路網特性の解析や麻酔状態と無麻酔状態の比較を検討した.
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