2005 Fiscal Year Annual Research Report
雄性生殖細胞の簡便凍結保存法と顕微授精技術を利用した産子獲得技術の開発
Project/Area Number |
17700381
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
越後貫 成美 独立行政法人理化学研究所, 遺伝工学基盤技術室, 技師(研究職) (40373287)
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Keywords | 雄性生殖細胞 / 顕微授精 / 凍結保存 / マウス |
Research Abstract |
誰にでもどのような場面でも即対応できる簡便な雄性配偶子の凍結保存技術の開発を目的として、雄マウスの精巣上体、精巣を組織の状態で、凍害剤や液体窒素等の特殊な道具を用いずに-80℃ディープフリーザーでの凍結保存を行った。今年度は簡易組織凍結法の最適条件を確立することを目的として、冷却温度スケジュールや保存温度などの条件検討や保存期間および系統による違いについて、組織融解後に採取した雄性配偶子をマウス未受精卵に顕微注入を行い、胚の体外発生および移植後の産仔への発生から評価を行った。-1℃/分で冷却する細胞凍結用コンテナの使用有無に関係なくフリーザー保存した精巣上体、精巣由来の精子、精巣精子、円形精子細胞より産仔が得られた。しかし精巣上体精子由来の産仔率が精巣精子、円形精子細胞由来のそれより低い結果となった。そこで精子浮遊培養液を変えたところ、産仔率の改善が図られた。また、ICR、C57BL/6両系統の凍結組織由来雄性配偶子より産仔が得られたことより、C57BL/6を遺伝子背景とすることの多い遺伝子操作マウスの系統保存にも応用できることが明らかになった。さらに1年間凍結保存したICR精巣由来の精子、伸長精子細胞からも産仔獲得に成功した。この結果より少なくとも1年は産仔発生能を失わずに凍結保存できることが分かった。本法の応用として、イギリスにて同方法で凍結したC57BL/6精巣をドライアイス便で空輸したのちに顕微授精を行って産仔の作出を試みた。その結果、精巣精子、伸長精子細胞ともに産仔獲得に成功した。以上の結果より、本法は凍結保存技術や液体窒素等がない施設でも受精能を保持した状態での凍結保存を可能にする有益な方法であることが明らかになった。
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