2005 Fiscal Year Annual Research Report
新奇点突然変異マウスモデルを用いた2型糖尿病の原因遺伝子探索と発症機構の解析
Project/Area Number |
17700383
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 麻紀 独立行政法人理化学研究所, 動物ゲノム変異解析研究チーム, 研究員 (90321728)
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Keywords | 糖尿病 / モデルマウス / 原因遺伝子 / 突然変異 |
Research Abstract |
既に作出されている単一遺伝子変異マウス系統,グルコキナーゼ遺伝子(Gck)変異マウスを用い,複数遺伝子の変異が表現型に及ぼす影響を検証するため,異なるGck変異を有する系統のヘテロ変異個体同士を交配することにより,3種類のコンパウンドヘテロGck変異マウスを作出した.またこれらコンパウンドヘテロ個体との比較のため,同じ点突然変異のホモ変異個体も作出し,表現型解析を実施した.その結果,ヘテロ変異では比較的穏やかな糖尿病を発症する個体もホモ変異ならびにコンパウンドヘテロ変異となると重症化するということ,さらにそのなかでも生存率や,血糖値などにおいて差が見受けられたことから,変異の箇所や変異によって生じる遺伝子産物の違い(ミスセンス変異あるいはナンセンス変異の違い)により,機能発現に差異が生じることが示唆された.これらの結果は第19回International Mouse Genome Conferenceならびに第28回日本分子生物学会で発表された. また,ヒト2型糖尿病に類似した肥満かつインスリン抵抗性の表現型を示す変異マウス系統に関して,変異遺伝子同定のfine mappingが進行しており,現在ゲノム上約7Mb領域に絞り込まれた. 新たなENU誘発変異マウスの検出を目的とし,高脂肪食負荷をかけENU変異誘発個体に生化学検査を実施した.その中から2系統が高血糖変異系統として検出された.これらの系統は11週齢の若齢では正常,高脂肪食負荷後の18週齢では高血糖を発症した.興味深いことにこれら系統の遺伝様式は劣性であり,上記の形跡が進展しているラインが全て優性であることから,また新たなバリエーションある変異系統として期待できる.現在各種アディポサイトカイン測定の準備として正常個体の基準値がほぼ設定終了し,順次変異系統のサンプルを測定予定である.
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