2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞モデルに基づいた興奮伝播と構造力学を統合したヒト心臓拍動シミュレーターの構築
Project/Area Number |
17700394
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陸 建銀 京都大学, 情報学研究科, 産学官連携研究員 (00378837)
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Keywords | 心筋細胞モデル / 生体シミュレーション / 興奮・収縮シミュレーション / システムバイオロジ |
Research Abstract |
心筋細胞の興奮収縮モデルであるKyotoModelをベースに,興奮伝播と構造力学解析を統合した基本シミュレーションシステムを構築した。それを用いて、心筋組織モデルを構築し、興奮伝播速度や細胞パラメータの変動による組織の収縮挙動の解析を行った.組織興奮到達時間の収縮力への影響を解析したシミュレーション結果が生体医工学シンポジウムで発表し,同論文誌への掲載も決定された. 1.細胞モデルに基づいた興奮伝播と構造力学を統合した収縮シミュレーターの構築 これまで研究開発を進めてきた、分散化細胞・生体機能シミュレーション開発プラットフォームDynaBioSを用いて、心筋細胞の興奮収縮モデルであるKyotoModelをベースに,興奮伝播と構造力学解析を統合した基本シミュレーションシステムを構築した。収縮による組織の形状変化の計算には有限要素法を用い,生理学モデルの計算と有限要素解析を時間刻みごとに連成させることで,心筋細胞の長さ張力関係を正しく再現できた.細胞間の興奮伝達はGapJuctionを介して活動電位の差分で計算され,GapJunctionの状態によって興奮伝達の速度を決める. 2.興奮伝播と力学解析を統合した心筋組織モデルの構築と検証 一次元心筋組織モデルに対して,組織収縮力は収縮要素の同期に影響されることをシミュレーションによって解析した.異なる興奮伝導速度で組織の長さを変化させてシミュレーションした結果,組織全体に興奮が行き渡るまでの時間である興奮伝達時間によって収縮力が一意的に決まり,興奮伝達時間の短縮が組織の効率的な収縮につながることを示した.またシミュレーション実験により,興奮収縮連成シミュレーションのための,組織のサイズや時間刻みなどを決定した.今後,3次元の心臓モデルを取り入れ,虚血や同期などによる心臓の収縮機能の変化をシミュレーションしたい.
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Research Products
(3 results)