2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700415
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮脇 陽一 独立行政法人理化学研究所, 脳数理研究チーム, 研究員 (80373372)
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激 / 計算論的神経科学 / 視覚 / 認知神経科学 / 抑制 / 神経細胞 / NEURONシミュレータ / 医用生体工学 |
Research Abstract |
平成17年度は,以下のサブテーマに関して研究を進めた. 1.経頭蓋磁気刺激によって神経細胞単体が受ける影響の定量解析 樹状突起形状の異なる神経細胞の3次元構造データを複数種類準備し,経頭蓋磁気刺激(TMS)によって印加される誘導電場が印加される状況を計算機上で再現し,神経細胞の発火状態がいかなる影響を受けるのかを解析した.その結果,(1)単一神経細胞レベルでの発火抑制に重要なイオンチャネルの挙動,(2)神経細胞形状と発火抑制閾値の定量的関係,が明らかになった.先行研究で示唆されていた定性的な知見を定量的に議論することが可能になった. 2.複雑なニューロンモデルの縮約化とネットワークモデルの解析 神経細胞集団のモデルへと拡張する場合,個々の神経細胞の構造を保持したまま計算を実行するのは計算負荷の観点から現実的には不可能である.そこで,上記のような複雑なスパイキングニューロンモデルの特性を,アナログニューロンモデルへと適切に単純化する手法の開発に取り組んだ.先行研究で限定的に行われていた手法を,我々のモデルへも適用可能なように修正を行い,複雑な神経細胞モデルの挙動を単純なモデルから予測することに成功した.この手法を用いて,上記の単一神経細胞レベルでのTMS応答特性を適切に繰り込み,かつ構造に関する情報を落とした単純なシングルコンパートメントモデルを用いて,初期視覚野の方位選択性を形成する神経回路網モデルを構築した.この回路網に磁気刺激を印加した場合に得られる抑制効果の基本特性を確認し,我々のモデルが実験結果を適切に再現可能であることを示した.
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