2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700415
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
宮脇 陽一 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報研究所, 研究員 (80373372)
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激 / 計算論的神経科学 / 視覚 / 認知神経科学 / 抑制 / 神経細胞 / スパイキングニューロン / 医用生体工学 |
Research Abstract |
平成18年度は,以下のサブテーマに関して研究を進めた. 1.弱い磁気刺激による抑制効果の解析 単発では一時的抑制効果しか引き起こせない程度の弱い磁気刺激(閾下TMS)に対する神経細胞集団の応答を解析した.モデルとしては,前年度までで構築したスパイキングニューロンネットワークを用いた.結果,閾下TMSの印加後約150msほどの間は,神経細胞集団がTMSパルスによって抑制されやすい状態になる(次のTMSパルスに対する抑制閾値が下がる)ことが分かった.この結果は,複数発の閾下TMSを用いて抑制閾値の減少を計測した実験結果と定量的に一致した.一方,同様のシミュレーションを単一神経細胞モデルに対して行うと,閾下TMSによる抑制閾値の減少は約20ms程度しか持続しなかった.これらの結果により,TMSによって観察される抑制効果の支配要因は,神経細胞単体の膜のダイナミクスではなく,シナプスを介したネットワーク構…造にある可能性が高いことを示した. 2.神経細胞集団のシナプス結合強度の磁気刺激抑制効果の定量解析 次に,神経細胞集団内のシナプス結合強度を詳細に制御し,それぞれの状況において閾下TMSが引き起こす閾値減少期間を定量的に解析した.結果,シナプス結合強度が小さく神経細胞間の相互作用が弱いほど,閾値減少期間は短くなり,単一神経細胞モデルで示された値に漸近していった.一方,シナプス結合強度が大きく再帰性の相互作用が強いほど,閾値減少期間は増加した.これらの結果は,薬理学的手法を併用したTMS実験の結果とも一致する傾向であった.以上より,TMSによる抑制効果の発現は,シナプスを介した神経細胞間の相互作用に強く依存しており,また抑制効果の時定数にはシナプス結合強度が強く関係していることを示した.
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Research Products
(3 results)