2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700419
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小関 義彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 研究員 (30356993)
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Keywords | マイクロマニピュレータ / Magnetis Resonance Imaging / MRI対応マニピュレータ / ピエゾ素子 |
Research Abstract |
本件はMRI内と近傍で数μmから数十μmの微小な機械的マニピュレーションを行なうMRI内生体組織マイクロマニピュレーションの研究である。MRIは精密で強力な磁場を有しているので、非磁性で高度な電磁適合性を有し、かつマイクロの操作が可能なマニピュレータとコントローラが必要となる。そのため、本研究ではアクチュエータ・センサとMRIが相互に悪影響を及ぼさないことが研究の要点となる。本年度ではMRI画像に悪影響を及ぼさず、正常に稼動するピエゾ素子-歪ゲージのアクチュエータモジュールを設計製作する。凡そストロークが10μm、応答周波数は1kHzと設定される。 4μmから16μmのストロークを持つ積層ピエゾ素子をMRI (Siemens社製Magnetom Impact Expert, 1.0T)内に設置し、高電圧オペアンプで駆動周波数1Hz〜4kHz、駆動電圧10V〜150V、サイン波、矩形波、三角波で駆動した。そのときのMRI画像のS/N比を測定した。その結果、S/N比200程度を得ることができた。またピエゾ素子、不在/存在時の画像に差はなく画像の歪みは生じなかった。このことからピエゾ素子がMRIに与える影響は十分に小さいことが明らかになった。 一方でMRI (Siemens社製Magnetom Impact Expert, 1.0T)内でピエゾ素子フィードバック制御のために伸びを歪ゲージで測定した。歪ゲージの信号は微小であるため、MRI内で約5000倍に拡大されて、MRI室外に伝達されている。この状態でアンプ出力に含まれるノイズを測定した。非撮影時にはMRI内とMRI外ではどちらも50mVpp程度のノイズであった。一方でMRI内で撮影中には大きなノイズ(アンプの飽和限界)が測定された。今後、改善の必要がある問題であるが、MRI撮影中にフィードバック制御をかける必要は少ないので、当面の問題ではないと言える。 以上の実験結果を踏まえてピエゾ素子-歪ゲージアクチュエータモジュールのコントローラを設計製作した。2本指ハンドに必要な6軸のドライバと歪ゲージアンプ、粗動用アクチュエータのためのピエゾ素子ドライバとSIN/COS発生回路、安定化電源で構成される。これらの製作部分は既存のMRI対応マニピュレータコントローラの一部として使用される。 本モジュールを複数個組み合わせて多自由度のマニピュレータとマニピュレータコントローラを構成する。モジュールを弾性体機構装着することで、必要な運動への変換と不必要な運動の拘束を行なう。 今後、これに前述のピエゾ素子-歪ゲージモジュールを組み込み、MRI対応性の検証を行う。またマン-マシンインターフェイスを構築し、その総合評価を行う。
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